ハウスバンド

ハウスバンド

ハウスバンドとは

ハウスバンドとは、ビニールハウスなどに展張した農業用フィルムの外側から押さえ、風によるフィルムのバタつきを抑えるために使用する資材です。

細いひも状のタイプから幅広のベルト状タイプまであり、被覆フィルムの種類、ハウスの大きさ、必要な強度、施工方法などに応じて選定します。

ハウスバンドの代表的な製品として石本マオラン株式会社の「マイカ線」が広く普及しており、農業現場ではハウスバンド類を総称して「マイカ線」と呼ぶ場合もあります。なお、「マイカ線」は石本マオラン株式会社の登録商標です。

ハウスバンドの役割

ハウスに展張された農業用フィルムは、風を受けるとフィルム面が繰り返し動きます。ハウスバンドはフィルムの外側から適切に押さえることで、このバタつきを抑えるために使用されます。

ただし、ハウスバンドを強く締めれば締めるほど安全になるわけではありません。使用するフィルムやバンドの種類によっては、過度な締め付けや風による繰り返し摩擦によって、フィルムの傷や破れにつながる場合があります。

ハウスバンドの選び方

ハウスバンドは価格や芯数だけで選ぶのではなく、次の条件を確認して選定します。

  • 使用している被覆フィルムの種類(農ビ、農POなど)
  • ハウスバンドが対象フィルムに適合しているか
  • バンドの幅(細幅タイプ・広幅タイプなど)
  • メーカーが公表している強度
  • ハウスの規模や形状
  • 地域の風条件
  • 固定具や施工方法との組み合わせ

農ビ・農POなど被覆材との適合を確認する

ハウスバンドを選ぶ際に最初に確認したいのが、使用している被覆フィルムとの適合です。

特に農POフィルムでは、バンドとフィルムの接触部分に摩擦が集中すると、フィルムを傷める場合があります。製品によっては農POフィルムへの使用を想定したものや、フィルムとの摩擦を抑えることを目的とした製品もあります。

「ハウスバンドであればどのフィルムにも同じように使用できる」と考えず、使用するフィルムとバンド双方のメーカー情報を確認してください。

細幅タイプと広幅タイプの違い

一般的なハウスバンドには比較的細いひも状・帯状の製品がありますが、より幅の広いベルト状の製品もあります。

広幅タイプはフィルムを比較的広い面で押さえられるため、局所的な接触や摩擦を抑える目的で利用される製品があります。

一方で、幅が広ければ必ず適しているわけではありません。ハウスの構造、被覆材、固定方法、製品仕様を確認して選定する必要があります。

芯数だけで強度を判断しない

ハウスバンドには「2芯」「3芯」「5芯」など、内部構造の異なる製品があります。

ここで注意したいのは、芯数が多ければ必ず強度が高いとは限らないことです。

製品によって芯材の種類、太さ、構造、バンド幅などが異なるため、強度を重視する場合は芯数だけではなく、メーカーが公表している破断強度や用途を確認してください。

ハウスバンド施工時の注意点

締めすぎに注意する

フィルムのバタつきを防ごうとしてハウスバンドを必要以上に強く締めると、バンドとフィルムの接触部分に負荷が集中することがあります。

特に風によってフィルムが繰り返し動く環境では、バンドとの摩擦によってフィルムが傷み、長期的には破れにつながる可能性があります。

締付力は強ければよいというものではありません。使用する被覆フィルム、ハウスバンド、固定具などの施工条件を確認してください。

設置間隔を一律に決めない

ハウスバンドの設置間隔は、ハウスの大きさ、アーチパイプの間隔、被覆フィルムの種類、バンドの仕様、地域の風条件などによって変わります。

そのため、「必ず○cm間隔で設置する」といった一律の基準で判断するのは適切ではありません。

新設時や張り替え時には、ハウス施工業者、ハウスメーカー、被覆フィルムメーカー、ハウスバンドメーカーなどの施工条件を確認してください。

台風・強風対策で注意したいこと

ハウスバンドは強風対策を構成する重要な部材の一つですが、ハウスバンドだけを強化すればハウス全体の耐風性が確保できるわけではありません。

台風や強風が予想される場合は、ハウスバンドだけではなく次の箇所もあわせて点検します。

  • 被覆フィルムの破れ・穴・たるみ
  • ハウスバンドの緩み・劣化・切れ
  • パッカーやフィルム留め具の緩み
  • ハウスバンド固定具の状態
  • アーチパイプや接合部の変形・緩み
  • 筋かいや補強材の状態
  • 基礎や地際部分の状態
  • 出入口や妻面など風圧を受けやすい部分

特に既設ハウスでは、バンドだけを新品に交換しても、他の部材が劣化していれば十分な対策にはなりません。

ハウスバンドでよくある誤解

「強く締めるほどフィルムが安全になる」

必ずしも正しくありません。過度な締め付けによってフィルムとの摩擦や局所的な負荷が増え、フィルムを傷める場合があります。

「5芯なら2芯や3芯より必ず強い」

芯数だけでは判断できません。芯材、バンド幅、構造などが製品によって異なるため、メーカーが公表している強度や用途を確認します。

「農ビ用のバンドを農POにもそのまま使える」

製品によって異なります。農POへの適合を明記した製品もあるため、使用する農POフィルムとハウスバンド双方の仕様を確認してください。

「高強度のハウスバンドに交換すれば台風対策は十分」

ハウス全体の耐風対策にはなりません。被覆材、固定具、骨材、筋かい、接合部、基礎などを含めて点検する必要があります。

ハウスバンドメーカー・製品一覧

国内で流通している主なハウスバンドメーカー・製品を掲載しています。

製品によって、対応する被覆フィルム、幅、長さ、構造、強度、用途などが異なります。実際に使用する際は、各メーカーの最新仕様を確認してください。

製造・発売元製品名特徴

タキロンシーアイ株式会社

スカイコートバンドEX

47mm × 150m PO系の素材で優しくしっかり押さえる

合資会社浅井染工場

PEバンドN 黒

ポリエチレン 大型・中型ハウスに最適

石本マオラン株式会社

マイカ線

農業用ハウス押えベルトのパイオニア LDPE・HDPE複合 種類豊富

石本マオラン株式会社

マイカ線フレックスシリーズ

ポリオレフィンフィルム用 滑りが良く、フィルムを傷つけない 種類豊富

石本マオラン株式会社

ニューマイカ線

農業用ハウス押えベルトのパイオニア LDPE・HDPE複合 種類豊富

石本マオラン株式会社

ハウスベルト

農業用ハウス押えベルトのパイオニア LDPE・HDPE複合 種類豊富

石本マオラン株式会社

ポリベル

全農業用トンネル押え・仮押え・包装用 LDPE・HDPE複合 種類豊富

東罐興産株式会社

TAベルト60

60mm × 200m 農POフィルム用

東罐興産株式会社

TAベルト120

120mm × 100m 農POフィルム用

東罐興産株式会社

スーパーベルト120

120mm × 100m 農POフィルム用 中長期使用可

大豊化学工業株式会社

タイレン バンド

大型ハウス用、トンネル押え用、強力タイプなど種類豊富

中部農材株式会社

キョージンバンド

大型ハウス用、トンネル押え用、強力タイプなど種類豊富

中部農材株式会社

キョージンバンド 巾広450N

45mm × 150m 農POフィルム用 透明で太陽光を通す

日新化学工業株式会社

ハウス押さえベルト

60mm × 100m 農POフィルム用

MKVアドバンス株式会社

スレない君

70mm × 300m 農POフィルム専用 透明で太陽光を通す ポリエチレン

MKVアドバンス株式会社

スーパー・スレない君

50mm × 200m 農POフィルム専用 引裂強度、引張強度が高い 半透明で太陽光を通す ポリエチレン

東京戸張株式会社

シンエースH2040破断強度1140N(約115kgf) 2芯構造 低価格の2芯タイプながら1000Nを越える高い強度
東京戸張株式会社シンエースH2048破断強度1440N(約147kgf) 2芯構造 芯に使用する強力糸を増量
東京戸張株式会社シンエースH3060破断強度1850N(約190kgf) 3芯構造 台風対策として優秀な高強度バンド
東京戸張株式会社シンエースH5100破断強度3030N(約310kgf) 5芯構造 業界最高クラスの超高強度ハウスバンド
東京戸張株式会社シンエースS3030破断強度980N(約100kgf) 幅12mm トンネルバンド・軽量資材に 3芯構造でやや広めの幅を持つ
東京戸張株式会社シンエースS5030破断強度860N(約88kgf) 幅15mm トンネルバンド・軽量資材に 5芯構造で広く面で押さえる

ハウスバンド選定のポイント

ハウスバンドの選定では、単純に「最も強い製品」を選ぶのではなく、使用するフィルム・ハウス構造・施工方法・風条件に合った製品を選ぶことが重要です。

  1. 使用している被覆フィルムを確認する
  2. フィルムに適合するハウスバンドを確認する
  3. 細幅・広幅などバンド形状を検討する
  4. 必要に応じてメーカー公表の強度を比較する
  5. ハウス構造と固定方法を確認する
  6. 施工方法・設置間隔・張力はメーカーや施工業者の条件を確認する

判断できない場合は、ハウスバンド単体だけではなく、使用している被覆フィルムの商品名、ハウスの構造、既存の固定方法まで確認したうえで、資材販売店、メーカー、施工業者などへ相談することをおすすめします。

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